【宮城県(石巻市雄勝町・河北町)での取り組み】

 SCRUMは、宮城県内では「雄勝部門」(愛称:インクストーンズ)として、主に石巻市雄勝町で活動してきました。

 

◇地域の特徴・被災状況

 国内シェア一位をほこる雄勝硯と、ホタテを中心とした漁業で有名な地域です。市町村合併により、2005年から、石巻市の一部となりました。震災前の高齢化率は40%を超えており、漁業や硯産業を引退後、余生をすごす高齢者が中心となっていました。

 また震災前からあった過疎化の問題に、津波被害が追い打ちをかけました。被害の甚大さにくわえて、避難所環境の劣悪さ、仮設住宅の不足などもあり、雄勝町外へ避難する住民が多数にのぼりました。 

 

◇残った方の問題、離れた方の問題

 雄勝町の人口は、 復興事業の問題などもあって、 1300人(震災前の3割前後)までしか戻らないといわれています。2015年度にはようやく住宅も完成しだしましたが、現在、以下のような問題が生じています。

①雄勝町に残った方は…

 震災前と同じかたちで生活を再開するのは難しく、伝統の継承(雄勝法印神楽など)や、学校の存続、買い物の問題などが生じています。そのなかで、いかに人口減少に対応したまちづくりをするかが課題となっています。

②雄勝町を離れた方は…

 雄勝町を離れ、どのような形で生活を再開するかが課題となっています。また多くの方が希望する二子団地(石巻市河北町)は、平成29年度の完成予定となっており、ながびく仮設生活をいかに乗り切るかも課題です。

 

 インクストーンズでは、次のような取り組みを行なってきました。

◇仮設住宅の支援 

 石巻市河北町の仮設住宅(雄勝町で被災された方が多くすむ)において、主に清掃活動を行っています。 仮設住宅は、完成から長い年月が経っており、清掃が必要な箇所も多くあります。そこで清掃ボランティアでは、住民の方が普段はあまり掃除することのない部分を重点的に清掃します。

 清掃を困難とする住民の方の支援をするとともに、清掃中のコミュニケーションを通じて、住民の方の声をお聞きすることも、このボランティアの大きな目的です。

 

◇林業の支援

 壊滅的な被害を受けた雄勝町中心部で、雇用創出を目的として、林業を始めた「雄勝里山プロジェクト」のお手伝いをしています。林業と聞くとすでに廃れた産業というイメージを持たれがちですが、木の端材をバイオマス燃料として利用できることなどから今再注目されている産業です。そんな林業に関する学習を行ったり伐木体験をしたりするツアーを組むことで、林業に関わる機会を学生に提供しています。

 昨年11月に行われたツアーには、留学生や他大学の学生も参加してくださり、雄勝町の林業を広めるだけでなく幅広い学生交流の場ともなりました。

 

◇限界集落の支援

 波板地区は、雄勝町のなかでも特に小さい集落です。震災の影響で4世帯にまで減り、集団移転が完了しても計10世帯にしかなりません。しかし波板には住民、玄昌石、海や山など、そこにしかない魅力があります。私たちは、そのような魅力を発信しながら「交流人口を増やしたい」という住民の意志のもと活動しています。波板を訪れれば必ず素敵な出会いがあります。みなさんも私たちと一緒に波板に行ってみませんか?


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2016年度新歓ツアー報告

 私たちは、4月23日(土)の午前中に石巻市にある大森仮設住宅へ行って石巻焼きそばマイスター講習会をおこない、会食をしたのちに、午後は仮設住宅に住む方々とお茶会をしたり、子供たちと山に竹を取りに行って遊んだりしました。それから自治会長さんのお話を津波の映像を見ながら聞きました。夕方には震災の津波で大きなダメージを受けた大川小学校を見学させていただきました。

 語り部さんの只野さんの話を伺いながら、建物の中にも入っていき、目と耳から震災の状況について学ぶことができました。仮設住宅では石巻焼きそばをみんなで一緒に作って食べることで楽しみながら活動しました。また、午後の見学では初めて大川小学校を目の当たりにする人も多く、実際に震災を経験した方のお話を伺うことで、多くのことを学べました。住民の方々とコミュニケーションを取り合う大切さや、震災の現状を把握する必要性に気づく、とても良い機会になったと思います。

小針彩乃(文学部1年)