【岩手県(陸前高田市)での取り組み】

 SCRUMでは2012年度より、主に「陸前高田応援サークルぽかぽか」として、陸前高田市でボランティア活動に取り組んできました。

 

陸前高田市の被災状況

 陸前高田市の市役所や商業施設が集積していた平野が13mから17m以上の津波に襲われ、1,735名の方が亡くなり、3千戸以上の家屋が被災しました(2012年10月陸前高田市発表)。

 避難場所に指定されていた市民体育館や市民会館が全壊。避難していた市民の多くが亡くなりました。また市役所の浸水により、一時的に行政機能が停止状態となりました。

広田湾沿いには約7万本の松林が2㎞続く、日本百景にも指定されていた景勝地「高田松原」がありましたが、ほとんどが津波でなぎ倒されました。その中で、一本だけ倒れずに残ったのが「奇跡の一本松」(写真右)です。

 

◇復興の現状

 陸前高田市には2,168戸の仮設住宅が建設され、2014年3月現在も津波で家を失った方の多くがそこで生活しています。災害復興公営住宅は2014年秋から2016年にかけて1,000戸が入居可能になります(一部、入居済)。陸前高田市では最大12メートル、平均で10メートル超という膨大なかさ上げが行われています。約300ヘクタールに上る土地区画整理事業は被災地最大規模で、住宅再建にはまだ時間がかかります。一部の方々は、2019(平成31)年まで仮設住宅で生活しなければならない見込みです。

 

「ぽかぽか」では、以下のような活動を行ってきました。

◇仮設住宅・復興住宅での活動

 震災から5年がたった今でも、特に2019(平成31)年まで仮設住宅での生活を余儀なくされ 、入居当初からの友人顔見知りがどんどん去って孤立化してしまう住民が少なからずいる状況です。また復興公営住宅に新しく入居した住民の方で、新生活に馴染めず苦しむ方も多くいます。こうした状況を踏まえ、手芸、足湯のボランティアを通して彼らに震災当時の辛い記 憶をお話してもらって、少しでも楽になってもらい、さらに住民の間につながりを生むことで孤立を防ぐことを目的に活動しています。

 

◇ひとを繋ぐ伝統行事

 準備や練習のために年齢性別を問わず多くの住民の方々が集まり、コミュニティー形成に大きな役割を果たしているのが「動く七夕・けんか七夕」「とらまい」等の陸前高田市の伝統行事です。「動く七夕」は飾り付けた山車を地域の方々で引っ張り、太鼓と笛のお囃子を響かせながら町内を練り歩きます。12台あった山車は9台が流され、無傷だったのはたった1台でした。全国からの支援によって、昨年は11台での開催となりました。他の伝統行事も、震災後は、人口減少・高齢化・資金・場所等の様々な問題により開催が危ぶまれています。存続のためにはボランティアの力が必要不可欠です。「ぽかぽか」は、とらまいでは虎や踊り子、七夕では山車の引手として高田町和野地区の活動に参加し、お手伝いしています。


 *過去の活動の具体的な内容については、ブログをご参照ください!


2016年度新歓ツアー報告

 東北大学陸前高田市応援サークル「ぽかぽか」では市内の視察、仮設住宅や公営住宅での足湯・手芸カフェなどを通して被災された方々との交流をするボランティアツアーを行っています。

 5/21.22のツアーでは、初日に奇跡の一本松や震災遺構の視察と気仙大工伝承館への訪問をし、被災の状況や復興の現状を学びました。2日目、2つの班は下和野復興公営住宅と滝の里仮設住宅で、足湯・手芸カフェをしました。将棋やゲームもして、みなさん楽しそうで「普段は部屋で一人だし何もしないから今日はみんなと会えてとても楽しかった」とおっしゃっていました。もう1つの班は、高田松原を守る会のお手伝いをしました。学生ボランティアは長く継続的に活動できるからありがたいとおっしゃっていました。陸前高田や震災について学びながら、さらに陸前高田を好きになることができたツアーでした。

佐藤美樹(工学部1年)